朝はまず山に入ります。氏神さまご挨拶をして一日の無事を祈り、

山の草花を摘みます。

四季折々、いろいろな表情を見せてくれる草花。

お料理の構想がわいてきます。

その足で農家様を回り、農家様はもちろん、土や野菜と会話します。

今日は炊いてみましょうか それとも炭火で焼いてみましょうか』

朝市を回りすべてを整えてお店に戻ります。

毎日の献立はおおよその軸だけ決めて、獲れたて摘みたて

掘りたてもぎたての大地の恵みを献立に加え、お料理を構成してゆきます。

お店の重い扉を開けると広がる土間。足を運んでいただきますと、

手間をかけて手磨きで仕上げていただいた朱色のおくどさん

ガラス張りの背景に自然の移ろいを感じる栃ノ木の一枚板のカウンター

テーブルのお席の天井に意匠を凝らし、どのお席もゆったりとくつろいでいただけます。

 

山の空気もごちそうに、上質な古民家の空間でのひとときを

お過ごしいただきます。

 

 

この地を選んだ理由は、地球存続のため…と言うとあまりにも壮大ですが

第一次産業の間近で営むことがそれに繋がると考えるからでする。

漁師様は魚を漁るのではなく海を守っておられます。

農家様は野菜を作るのではなく土を作っておられます。

良い土壌ができることで連鎖もうまく周り、公害だらけの地球に歯止めをかけておられるのです。

その生産者様が潤わなければ、続けて営む数が減ります。

その生産者様の産物を世に広げる一番近い存在は、我々料理人ではないかと。

料理人は地方へ行き、地場産業を盛り上げるべきだと考えます。

 

 

この地を選んだ理由がもう一つあります。それは、氏神様である豊宇気毘売神様です。

伊勢神宮の下宮に祀られているこの神様は、食の神様です。いわば天照大神様のお料理番です。

恥ずかしながら私はこの神様のことを存じ上げておりませんでした。

 

私は常々『氣』を込めておもてなしすることが一番と考えております。

ご両家顔合わせのお客様には、ご縁談が良縁結ばれますように、お誕生日のお客様には、

おめでとうという気持ちを添えて、激励の場にはがんばってくださいという思いを込めて、

お一組ずつ『氣』を込めて、おもてなしをしたい。

 

豊宇気毘売神様は

「人の手から波動が出ている いい波動=『氣』で作る料理は必然としていいものになる」

と唱えておられます。

大変恐縮ではございますが、お導きいただいたのではないかと感じております。

大地の恵みに感謝し、食と向き合い、お客様の心根に良き水となるようなおもてなしをご提供できるように尽力して参ります。

 

心根 主人 片山 城